はじめに

 『アラーニェの虫籠』は通常のエンタメ作品よりも、感覚的なビジュアルを重視しているため、説明的なセリフを意図的に排除し、観客の想像にゆだねる手法を取っています。

 ゆえに一見、難解な印象を持たれる場合もありますが、決して「わからない」だけの作品ではありません。監督の中には当初から、ちゃんと「正解ルート」も存在しています。

 

 ただ、その“正解”だけがすべてではなく、監督の狙いとして、奔放なビジュアルから、観客が自由に謎解きを考察し、自分なりの解釈をもって、作品を楽しんでほしいという思いがあります。

ストーリーや設定、ビジュアルは複雑に練りこまれ、観客が多様に想像できるだけの余地を残しており、様々な解釈が生まれるよう、冒頭からラストまで、細部に工夫を施しています。(もともと本作の設定は、テレビアニメでいえば1クール=13話分程度の情報が詰め込まれており、従来のわかりやすいエンタテインメントとは一線を画す構造になっています)

 

 それゆえに見るたびに新たな発見があり、初見とはまるで異なった解釈も生まれます。それが本作の楽しみ方といえます。

 

 

 とはいえ、監督の正解ルートも気になるところです。

 監督も単に難解な作品を狙っているわけではありません。トークショーでも監督が謎解きの解説をすると、「そういうことだったのか」と納得される方が多いのも事実です。

 まだデジタル配信が始まったばかりで、すべての謎解きの「答え合わせ」をするわけにはいきませんが、劇場公開時のトークショーでも、監督は謎解きの正解の一端を明かしています。

 そこで「謎の検証」ページでは、観客の皆様から寄せられた数々の疑問を取り上げながら、謎を解くヒントを提示し、考察の一助になればと思います。

(皆様からの謎解きの考察や疑問にもお答えし、時には公式サイトでご紹介します。ただし、すべての疑問や謎解きの正解にはお答えできませんので、あらかじめご了承ください。また、ご返答には時間がかかる場合があります)

                       

                            福谷修(プロデューサー)

© 坂本サク/合同会社ゼリコ・フィルム